Panasonic Vieureka
Panasonicの期待を背負った社内スタートアップの、サービスコミュニケーションのアップデート
Panasonic内のスタートアップ組織である「Vieureka(ビューレカ)」のマイクロサービスアイコンの設計・デザインをさせていただきました。
Vieureka様は「世界の今をデータ化する新たな社会インフラを創造」というVISIONを掲げ、AIカメラのIoTデバイス開発と、その開発プラットフォーム運営、そしてIoTデバイスとプラットフォームを生かしたアプリケーション開発と、技術力をコアとし様々な展開を行われています。
しかしこれまでサービス運営をされてきた中で、事業範囲の広さと複雑性から、それぞれの訴求対象者に対して十分にその魅力が伝わらず、コミュニケーション上の機会損失が起きているという懸念ををお伺いしました。
今回のプロジェクトでは、サービスの全体像から詳細について説明する際に使用する「マイクロサービスアイコン」の新規設計に焦点を当て、コミュニケーションのアップデートを図ってまいりました。
Process1. アイコンの情報レベルの構造整理
未来の運用性と展開性を踏まえた、情報構造の設計
まず最初に行ったのは、今回設計するマイクロサービスアイコンについての構造整理でした。
「マイクロサービスアイコン」は、基本的にプラットフォームサービスの全体像やソフトウェア・プリケーション単位での説明に使用するもので、代表的なもので言うと、AWS社が提供するサービスの説明などで使用されています
特に外部の開発パートナーが関わる場合ほど、SDK(ソフトウェア開発キット)の説明なども必要なため、どんどん構造が複雑化してきます。それを可視化の際は複雑に見せずに、いかに分かりやすく説明できるように全体の情報構造を設計するかが重要になります。
更に、プラットフォームサービスという特性上、常にその中身はアップデートされます。今までサポートしていたサービスが無くなったり、新たにサービスが追加されたりと、恒常的な情報の入れ替え、増減に耐えうる全体設計をしておくことからは避けられません。
そのため、これまであらゆるコミュニケーションにおいて「説明のいち要素として使用した情報レベル」「簡易グラフィックなどを用いて説明したことのある語彙」をはじめ、説明可能性のある言葉やサービス名を徹底的に洗い出すことから始めました。
その結果、合計30コの必要アイコンの洗い出しが完了しました。(納品時には最終24案に決定)
Vieurekaにとっての情報の階層レベルの定義も行い、将来的なアイコンの増減にも十分耐えうるような構造設計をいたしました。
次に、アイコンの設計ルールについて、ピックアップしたベンチマーク起点に弊社で整理した以下3つのアイデアより、どの設計思想が最もVieurekaにとって相性が良いかの検討を行いました。
(1) ビジュアルイメージ抽象化型
(2) 抽象モチーフの汎用構造化型
(3) アルゴリズム開発でのグローバルアイコン型
カメラを起点に視覚情報のあらゆるデータ化を行う点と、開発や技術リテラシーの有無に関わらず本サービスが実現できることを直感的に理解できることを目的とする観点から、(1) ビジュアルイメージ抽象化型が採用され、具体的なアイコン設計へとプロセスを進めました。
Process2. トンマナの方向性検討
Vieurekaらしさとコミュニケーション運用観点を軸として具現化
アイコンのデザイン設計プロセスへと進行し、最初にトーン&マナーの方向性の検討を行いました。弊社内で出した複数のアイデアより3つのご提案に絞り込み、それぞれが実際にサービス説明シーンで使用された際の反映イメージとともにプロジェクトチーム全体での議論を進めました。
各アイコンは、
シンプル←→複雑
抽象的←→具体的
親しみ←→堅め
安定←→躍動
オールド←→モダン
論理的←→感覚的
モノトーン←→カラフル
という7つの観点からトンマナを規定し、「Vieurekaらしさ」と「実際のコミュニケーション現場での運用性」をそれぞれ検討しました。
Process3. スタイリングのブラッシュアップ
核となるアイコングループの練り上げと全体への落とし込み
トンマナの方向性が策定された後、あらゆるシーンの説明で核となるアイコンの練り上げへと移りました。
特に事業の顔である「AIカメラ」については幾つものパターンを設計し、「ひと目でわかること」と「構造のシンプルさ」のバランスをいかにとり、他のアイコンと併用する際の汎用性にこだわりました。
そこから核となるアイコンのブラッシュアップを行い、その設計ルールをもって全24アイコンへの落とし込みを完了しました。
Interview
パナソニック株式会社様の宮崎様(以下、宮)、長野様(以下、長)、藤田真継様(以下、真)、藤田隆久様(以下、隆)に、今回のマイクロサービスアイコン制作に関する内容について伺いました。
QUARTZ(以下、Q):今回プロジェクトのご依頼にあたって、最も期待されていたのはどの部分でしたか?
宮:とある交流会でクオーツの担当者の方とお話してから、ぜひ何か一緒にやってみたいと考えておりました。今回は最初の取引だったので、まずはご提案していただきやすく、かつ私たちとしても新規で設計ができるとありがたかった、弊事業を説明するうえで重要になる「マイクロサービスアイコン」をご依頼いたしました。
長:私は弊事業のマーケティングを担当しておりますが、クオーツさんは上流から関わられているデザインパートナー会社という点で、我々のメンバーが持っていない知見を提供していただけることを期待しておりました。
Q:そのご期待していた内容はいかがでしたか?
長:成果物と一緒に、大変有用な知見も共有いただけたと感じています。クオーツさんは「ただアイコンをつくる」だけではなく、プロジェクトの進め方が丁寧だったのは勿論ですが、デザインパートナーとして「モノをつくるときの視点」を我々のチームに共有いただけたと思います。プロジェクトをご一緒するパートナーとして、心強く感じました。
真:成果物としては比較的シンプルなものではありましたが、各プロセスや中間のアウトプットにもしっかりと意味を持たせており、流石だなと感じました。また、私は開発チームに所属していますが、クオーツさんとご一緒して改めて「ユーザー視点の大事さ」を理解しました。ユーザーへの提供価値から考えることが大事だということは頭では分かっているんですが、技術的なことが絡みだすとどうしても解決策ベースの頭になってしまいがちです。その点クオーツさんは徹底してユーザー視点で議論やデザイン提案を進めていただいたので、弊事業の開発チームにとっても提供価値ベースで考える文化が改めて少しずつできてきたと感じています。
隆:社内のコミュニケーションが変わった、という点で言うともう1点あります。弊事業もスタートから10年やってきているのですが、つくってきたものもやってきたものも、実はパナソニック社内にいる人にとっても相当複雑に見えてしまっているんです。「Vieurekaプラットフォーム」というプラットフォーム事業の下層に、「来客分析サービス」などのアプリケーションが存在しているような構造なのですが、それ自体も伝わりづらい。今回のマイクロサービスアイコンは、特にSDK(ソフトウェア開発キット)を導入する開発パートナーに対してのコミュニケーションの際に使用するものですが、その際に伝えたいことが伝わるようにうまく可視化いただけたと思います。
宮:今回作成いただいたマイクロサービスアイコンは、プレゼン資料やピッチ資料など、外向けのコミュニケーションにどんどん取り入れ始めています。これからは、弊事業のブランドコミュニケーションに関わる部分でも、なにかプロジェクトをご一緒できればと考えています。
Q:ありがとうございました。ますますのサービスの成長のために、今後ともお力になれますと幸いです。
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