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パレート分析の方法と図の作り方を徹底解説!

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ビジネスを改善・発展していくうえで、「物事を重要なものから処理する」「改善感度の大きいものから解決する」ということが重要になってきますよね。しかしこのような場面では社内で課題の認識を揃えるのはなかなか難しく、意見が割れやすいでしょう。
そんなときに便利なのが「パレート分析」です。どんな要因が全体にどのくらいの影響力を持っているかを分析することができます。

この記事では、パレート分析について詳しく説明するとともに、分析に必要なパレート図をExcelで作る方法と、その後の分析方法について解説していきます!

パレート分析とは

パレート分析とは、パレート図を使った分析のことです。パレート図は、データを項目別に集計・分類して多い順に並べ、棒グラフと累積曲線によってあらわした図のことを指します。
「顧客の上位20%で、売上高の80%を占めている」などのように、20-80の法則を使って読み取られるのが一般的です。

問題が複数ある場合、重要な問題から解決したり、問題に対する影響度の大きい原因から対策を打ったりするというのは当たり前の考え方ですよね。パレート図を使うことで、そういった問題の大きさや順位がわかると同時に、それぞれが全体の問題に対してどれ程の割合を占めているのかが分かりやすくなります。



上の図をご覧ください。ここでは不良内容(項目)を横軸にして不良件数の多い順に並べ、集計値を棒グラフに表しています。折れ線グラフは各項目の累積構成比で、一番右側は累計割合の100%となります。

パレート図は、品質管理の分野において「QC7つ道具」といった、QC(Quality Control:品質管理)に用いられるデータ分析の道具の一つとしてよく知られているものです。製造現場では、不良や不具合の原因に対してどこから手を打っていくのかを分析するときによく使われています。

メリット

では、パレート分析のメリットを具体例を使って紹介します。

①優先課題への共通認識を取ることができる

頭の中にあるイメージを言葉でいくら説明しても、チームのメンバーになかなか理解してもらえなかった経験はありませんか?また、どの対策を優先すべきかについて、メンバー内で意見が対立してなかなか議論がまとまらなくなってしまうことも少なくはありません。

しかし、例えば前述のように、不良内容をまとめたパレート図をチームに共有して説明すれば、棒グラフからこの工程で最も多い不良は「汚れ」であり、また折れ線グラフをみれば「汚れ」による不良は全体の約50%を占めていることがひと目でわかります。
そのため、まず対策を検討すべきなのは「汚れの防止」であることは、誰から見ても明らかです。



②重点分析として使うことができる

パレート分析は品質管理で使われる印象を持つ方も多いのですが、後で紹介するパレートの法則(80:20の法則)やABC分析との親和性が高いため、品質管理に限らず、経営課題に対して優先的に手を打つべき項目を絞り込むときにも活用されています。
一例として、ある家電企業の1か月あたりの売上台数をパレート図にまとめてみました。



この企業の場合、スマホの売り上げは35台であり、全売上台数の約40%を占めています。この結果が見えれば、「スマホの売上が高いため、よりお客が求めている商品を適切に把握し、それらの商品を取り揃える必要がありそうだ」と検討することができるようになります。
このように、パレート分析は具体的かつ現実的な経営戦略やマーケティング戦略を練るときにも役立ちます。

③対策の効果がわかる

パレート分析をして対策を取ったあと、縦軸を変えずにパレート図を再作成することで、対策前後の比較ができます。もし効果があればさらに対策を推進したり別の課題対策に着手したりすることができ、効果がなかった場合には別の対策を検討するか対策を断念するかといった判断が可能になります。



パレート分析の活用場面

パレート分析は様々な場面で使われています。例えば、以下のような場面で活用できますよ。

製品やサービスの管理

パレート分析は、製品やサービスの売上や利益のなかで、主要な製品やサービスを特定するために利用されています。例えば、製品ライン全体の売上の80%が上位20%の製品によるものであるとき、この上位製品に重点を置いて戦略を検討し、効果的なリソース配分を行うことができます。

カスタマーセグメンテーション

顧客に対するアプローチにおいてもパレート分析は有効です。例えば、上位20%の顧客層が顧客全体の売上の80%を占めている場合、この上位の顧客に優遇サービスや特典を提供すれば、顧客満足度を向上させると同時に収益を最大化する戦略を立てることができます。

事業継続リスクの把握

同時に、依存度が高い顧客や取引先を特定するのにも利用できます。依存度が高いということは、その存在が収益性や成功に大きな影響を与えることを示します。逆にそこを失えば事業の継続が困難になりますので、そのリスクを把握しあらかじめ対策を練っておくておくのにも便利ですよ。

プロジェクト管理

プロジェクト管理においても、活動の中心となるタスクを特定するのに便利です。タスクの所要時間やリソースの使用量などを整理し分析することで、プロジェクトの進捗や効率を向上させる方法を見つけることができます。

品質管理

製造業やサービス業において、不良品や不良サービスの原因を特定することができます。たとえば、自社製品における不良の80%が特定の2つの欠陥によるものである場合、製品のクオリティを改善するためにそれらの欠陥に対する対策を検討しやすくなります。

ABC分析との違い

パレート分析の別な手法として、ABC分析があります。

ABC分析とは、「パレートの法則」というイタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが提唱した『全体の数値の8割は、全体を構成する要素のうちの2割の要素が生み出している』という経験則に基づいています。「80:20の法則」と呼ばれることもあります。
重要度別にA・B・Cに分けるもので、主に原材料、製品などの資金的重要度を分析するときに活用されています。

この重要度の分類方法はいくつかありますが、よく知られているのは、一定期間における原材料の購買や商品の販売について、金額(単価×数量)を集計して大きい方から並べ、累積金額の割合が70%以下のものをA(重要管理品目)、71~90%のものをB(中程度管理品目)、91~100%のものをC(一般管理品目)というグループに分けるものです。

ABC分析によるグループ分けの結果は、グループごとに在庫管理方法や販売方法などを変えるなど、主に管理コストを下げるために用いられます。

ただ、パレート分析でもパレート図の累積構成比曲線の値を使いながら同じ分析を行うことができます。ですので、パレート分析とABC分析は基本的には大きな違いはありません。
近年ではコスト分析手法としてのABC分析が登場したため、それと分かりやすく区別するためにパレート分析と呼ばれることが増えてきています。

Excelを使ったパレート図の作成方法

パレート分析を行うためには、まずパレート図を作成する必要があります。ここではMicrosoft Excel(以下、Excel)を使った作成方法を説明しますね。

1.データを集計する

Excelのセルに式を入れて集計してましょう。ですが、もしデータ数が多い場合はエクセルのピボットテーブル機能を使うとよりカンタンに集計出来ます。

集計後、データの数値の大きい順に並べ替えておきます。


2.累積構成比を計算する

集計したら、次に各項目の累積構成比を計算します。
また、あとでパレート図の形を整える際に必要となるため、隣の列の一番上の行に「0」を入れた累積構成比も作成します。



ちなみに、累積構成比の出し方が分からない方は以下を参考にしてみてください。
最後の項目は必ず「1」になるので、もしそうならなければどこかでミスしているかもしれません。確認してみてください。


3.縦棒・折れ線の複合グラフを作る

ここまでくれば、あとはもうカンタンです!データの範囲を指定してグラフを作っていきます。順を追って説明しますね。

①必要なデータを選択

横軸と棒グラフに相当するデータの範囲を選択します。ここでは「項目」と「データ」のところですね。そのままCtrlキーを押しながら「累積構成比率」を選択します。


②グラフの選択

そのまま、Excelのツールバーから [挿入] → [複合グラフの挿入] → [集合縦棒-第2軸の折れ線] を選択してください。



そうすれば、ワークシート上に複合グラフが生成されます。



4.複合グラフをパレート図にする

複合グラフの状態でも大体のことはわかりますが、もっと分かりやすくするために、目盛りのところを修正してパレート図にしていきます。

①右側縦軸の目盛りの修正

第2軸縦軸(右側縦軸)を右クリックして、軸の書式設定を開きます。軸のオプションで、最小値を「0」、最大値を「1」、メモリの種類を「内向き」、表示形式を「パーセンテージ」、小数点の桁数は「0」としてください。


②横軸の目盛りを修正

同じく、横軸を右クリックして軸の書式設定を開きます。軸のオプションから目盛りの種類を「内向き」にします。

③棒グラフの太さの修正

棒グラフを右クリックして、データ系列の書式設定を開きます。系列のオプションから要素の間隔を「0%」にします。



④折れ線グラフの修正

次にグラフをクリックし、グラフの右上に表れる「+」マークをクリック→「軸」の右側にある「>」をクリック→「第2横軸」にチェックを入れます。これによって、グラフの上側にも軸ができます。



その後に、第2横軸(上側の横軸)を右クリックして軸の書式設定を開きます。そこから軸位置を「目盛り」、目盛りの種類・補助目盛の種類を「なし」、ラベルの位置を「なし」にしましょう。



⑤左側縦軸の目盛りの修正

縦軸(左側縦軸)を右クリックして軸の書式設定を開きます。軸のオプションで、最小値を「」、最大値にはデータの累計値(ここでは「550」)を入力してください。
これで、パレート図としての形ができ上がります。



5.グラフの見栄えを整える

最後にグラフの見た目をきれいにしましょう。
タイトルや軸ラベルを入れたり、フォントを変えたりしながら、パレート図をブラッシュアップしてください。

ここでは、縦軸・横軸のタイトルの挿入と、グラフの色の変更を行っています。

パレート図の完成形は以下のとおりです。



パレート分析のやり方

さて、パレート図が出来上がりましたね。これで簡単にパレート分析を行うことができます。
特に棒グラフが高いもの・構成比の数値が大きいものはとても重要です。左から順に優先順位がつくことはなんとなくわかるでしょう。しかし、その他読み取りのコツや分析上気を付けておいた方がいいことがありますのでご紹介します。

ABC分析のように活用する



売上げや粗利、不具合に関するパレート図は情報を得やすいため比較的容易に作成できます。しかし、さまざまなコストを差し引いた後の利益に関するパレート図は、製品別や顧客別、チャネル別であったとしても、そう簡単に作ることはできません。
なぜなら、それぞれの要素ごとで利益を正確に把握することが難しいからです。ですので、冒頭で説明したABC分析なども行うことで、信頼に足る分析とする必要があります。

累積構成比の折れ線グラフを見て、0から70%までがA(重要管理品目)、71~90%がB(中程度管理品目)、91~100%がC(一般管理品目)です。
今回の検査不良の例では「汚れ」「傷」を合わせると80%近くになりますので、この2つの対策は優先順位が高いと分かります。

他の項目で集計し、比較・分析する




パレート分析は実務にも有効ですが、最終的な意思決定、なかでも製品や顧客の切り捨てに関しては、分析結果を鵜呑みにして機械的な判断をすることは避けるようにしてください。
一見全体に対する貢献度は少なくても、技術力強化や信用力強化などの観点で企業経営に貢献していることも多いです。

そのため、できることならば他の項目で集計結果をだし、比較しながら分析しておくことが大事です。下の図をみてください。右側のとおり、縦軸の項目を「不良件数」ではなく「損失金額」としたときに、「汚れ」以外の項目が上位にきて、結果が大きく変わることがあります。少なくとも「件数」と「金額」は分析しましょう。



対策や改善策の検討

パレート図を作成し上位の要因を特定したら、その結果を基に施策を練りましょう。
例えば、ある製品の売上が上位にある場合、その製品の「生産量を増やす」、「マーケティング戦略を見直す」、「品質向上に取り組む」などの対策が考えられます。
またタスクの所要時間が上位にある場合、「プロセスの見直し」や「効率化の導入」、「トレーニングの強化」などが考えられます。このように、パレート図を作って終わりではなく改善策まで検討し、実施していきましょう。

まとめ

今回はパレート分析の解説を行うとともに、パレート図の作成から分析方法までご説明しました。
パレート分析とは、ある構成要素を大きい順に並べた棒グラフと累積比率を示す折れ線グラフを組み合わせることで、上位のある要素が全体にどのくらい影響しているのかを分析する方法です。

分析の前段階として必要となってくるパレート図の作り方は、まずExcelを使ってデータを集計し、累積構成比を計算します。次にそのデータから複合グラフを作成し、目盛りのところを修正したり見栄えを整えながらパレート図にしていきます。
何も見ずにこの手順をもとにパレート図を作れるようには時間がかかるかもしれませんが、この記事を活用しながら覚えていってください。

そして、そのパレート図を使って早速分析を行っていきます。ABC分析のように活用したり、他の項目で別に集計して比較分析をしたりするといいですよ。その分析結果から、次の対策を練ることも忘れずに!

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