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ビジョンの作り方を6ステップで解説!浸透方法と事例をご紹介

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目次

「ビジョンを持つことの重要性は分かっているけれど、具体的にどのように作ればいいのだろう」
「作ったとしても、その後組織に浸透させていくのが難しい」

こういう悩みを抱える方は少なくありません。

ビジョンには一定の作り方があり、それに沿えば意外と簡単に作成できます。
しかし前提として大事になってくるのは、「なぜビジョンが必要なのか」を前もってよく理解しておくことです。多くの経営者がビジョンは大切だと言っているから作る、では意味がありませんからね。
この記事では、ビジョンの定義やそれが重要な理由を踏まえた上で、ビジョンの作り方を解説します。

ビジョンとは

ビジョン(Vision)とは、会社のステークホルダー全員が共有する、会社が目指す目標です。

メリアム・ウェブスター英語辞典はビジョンを、「あなたが想像するイメージ、または心の中で描く図」と定義していますが、ビジョンとは、「会社の未来のあるべき姿」と言っていいでしょう。

例えば、世界最大の家具量販のコングロマリットであるIKEAでは、次のようなビジョンを掲げています。



シンプルですが、このなかには多くのバリューが含まれています。ある特定の消費者層ではなく、「日常生活」を送る消費者全般をターゲットにしています。
そして、「より良い日常生活」を創造するためのプロダクトカテゴリーをあえて設定していません。「より良い日常生活」を創造できるとされるものは、いかなるものでも排除しないという姿勢が示されています。


そして次に、多国籍テクノロジー企業であるGoogleのビジョンです。



これも分かりやすく明確なビジョンですね。「情報」の範囲を設定していないので、サーチエンジンなどの特定のプラットフォームに限定されません。Googleは現在も機能を拡張し続けていますが、このビジョンあればこその事業方針であるといえます。

「経営理念」との違い

組織経営においては、ビジョンのほかに「経営理念」「ミッション」「パーパス」といった言葉もよく使われます。
はじめに「経営理念」との違いを説明しましょう。

経営理念(Corporate Philosophy)とは、文字通り会社が目指す姿と言うよりも、会社の哲学を示しています。
例えば先ほども紹介した Google の例を取り上げると、



などの経営理念を掲げていますが、みてのとおりビジョンとは異なります。


「ミッション」「パーパス」との違い

「ミッション」と「パーパス」もビジョンを実現するための行動指針であり、行動の理由です。

細かく違いを説明すると、「ミッション」とはビジョンを実現するために「何を行うのか」定めたものです。一方で「パーパス」は、組織の社会的存在意義や、ビジョン実現を目指す社会的理由です。

それぞれの違いを整理すると、以下のようにまとめられます。



ちなみに、Googleのミッションは以下の通り。



まさに、「全世界の情報にワンクリックでアクセスできる環境を提供すること」というビジョンとの接続性が非常に明確ですよね。

経営においてビジョンが重要な理由

先でご紹介したように、成功を収めるている有名企業もまたビジョンを策定し、組織を経営しています。では企業経営において、なぜビジョンが重要なのでしょうか。

理由は大きく分けて2つあります。


まず、ビジョンを策定するとステークホルダーに企業の方向性や価値観を分かりやすく示すことができるようになります。ビジョンには自社しかできない「企業らしさ」がにじみでるものです。
ビジョンを示すことで、長期的な目標および中短期的な目標を関係者間で共有でき、株主にも会社の未来像を示すことができるようになります。ですので、具体的に企業の価値観を示すと、ステークホルダーを惹きつけることもできますよ。

また、企業で働く従業員のモチベーションの向上も期待できます。ビジョンを策定してそれが従業員に浸透すれば、ビジョン実現に向けての共通の経営目標ができ、業務成果をイメージしやすくなるのがメリットです。
目的地がよく分かっていないまま進むより、明確な場所を把握しているほうが進むスピードも速くなりますよね。企業として最終的にどうなりたいのかを示すビジョンは、従業員の仕事への取り組みやモチベーションに大きく関わります。

ビジョン策定の6ステップ

このように、ビジョンを策定することは組織経営に欠かせません。
ここでは、実際にビジョンを策定するうえでの6ステップをご紹介しますね!



さて、ではそれぞれ詳しく見ていきましょう。

現状を把握する

最初のステップとして、「現在の把握」を行います。自社の現状や事業内容を正しく知れば、「何のために」「誰のために」事業を行うのかということが明らかになり、今後進むべき方向や未来の姿をイメージしやすくなりますよ。

ただ、何をどこから考えたらいいかと迷いますよね。
現在の事業内容を確認するためには、次の質問に答えてみてください。



ただ問いを考えるだけではなく、しっかり言葉に落とし込んで可視化させましょう。
またビジョンを策定する際にはトップダウンの一方通行になりがちですが、組織全体を巻き込んでいくべきです。現状把握において組織内の多くの人々の意見や視点を取り入れることで、ビジョンはより具体的で現実的になり、実現可能性も高まります。また後々、ビジョン浸透を行っていくうえで社員からのコミットメントも期待できます。

会社の価値観を明確にする

次のステップは会社の価値観を明確にすることです。

我々は何のために仕事をしているのか、お金を稼ぐためか、雇用を創出するなど地域社会へ貢献するためか、何らかの新しい価値を創造して人々の生活をよくするためか等々、経営陣のみならず社員も含めてしっかりと議論をして下さい。

議論においては、会社の歴史、伝統、文化などの会社のレガシーと言うべき情報を社員全員で共有し、その上で一人ひとりが何を大切にし、何を守ってゆくべきと考えているかを率直に話し合う必要があります。

そうした議論を繰り返すことで、共通の価値観の全体像が少しずつ見えてくるはずです。会社の価値観が不明瞭な状態では、基礎となる共通の考えが希薄になるため、正しくビジョンを設定するのは難しいでしょう。

事業環境を確認する

次のステップは「自社の事業環境の確認」です。自社を取り巻く市場の現状、競合他社の状況、今後の成長性やリスクなどを、できるだけ客観的にまとめておきましょう。



市場の現状や競合状況を掴むには、まずは競合他社をリストアップします。そして、その会社が上場企業であれば公開された財務諸表やIR資料を入手し、未上場企業であれば市場調査会社のレポートなどから情報を得てください。
ここではポジショニングマップをつくるのがオススメです。その際、売上高や強みや弱みなどをベースにしておくといいですよ。今後の成長性を把握したい場合は、競合を含めた市場全体の現状を掴み、今後の事業環境などを踏まえて仮説を立てましょう。

将来を予測する

ビジョン策定にあたって、将来の市場動向や業界の変化を予測しておくことは不可欠です。このステップは、ビジョンを単なる自社のエゴや理想の夢にとどまらせず、実現可能なものにするために重要となってきます。

最初に、業界の動向や市場の変動を知るために情報収集をしましょう。最新のレポートや研究、分析データをチェックし、それが自社にどんな影響を及ぼすかを考えます。特に、新しい技術の導入や競合他社の動き、消費者の行動変化など、急激な変化が予測される要因には敏感になりましょう。

これらの市場動向や業界の変化をもとに、先ほどのステップでまとめておいた自社の強みや弱み、機会やリスクを再評価します。そうすることで、自社がどのポジションにいるかや、どんな戦略が必要かがより明確になります。

社会の課題や変化する顧客ニーズにフォーカスし、それに対応する新しい事業やサービスのアイディアを見つけましょう。これによって、ビジョンとそれを達成する戦略がより具体的になり、組織全体が協力して進むべき方向がみえてきます。

自社の5・10年後の姿をイメージする

「将来のあるべき姿をイメージすること」は、ビジョン策定における中心的なステップのひとつになってきます。しかし、ただ単に漠然とした理想や希望を描くのではなく、企業が目指すべき具体的な将来像を明確にしていくことが必要です。
そのためにも、ここまでにまとめてきた「現在の事業内容」「事業環境」「会社の価値観」「将来の市場動向」をベースに、5年後あるいは10年後のあるべき会社の姿をイメージしましょう。

例えば、以下のような質問を参考にして考えてみてください。



このように、事業計画などと照らし合わせながら現実的なイメージを描きましょう。

ビジョン・ステートメントにまとめる

最後に、ここまで描いてきた会社の未来の姿を実際の言葉にしましょう!つまり、ビジョン・ステートメントにまとめるということです。

まとめ方は、会社の未来の姿を構成するワードを抽出し、それらを構成要素にしてステートメントにします。また、以下の3つのポイントを心がけると良いでしょう。



ビジョン浸透の方法・事例

ビジョンを作成したものの、そのままほったらかしにされて結局無駄になってしまうといったケースが少なくありません。せっかく時間をかけて策定したビジョンも、ほったらかしになってしまうと勿体ないですよね。ですので、ビジョン浸透のステップはより力を入れましょう。

ここではビジョン浸透のための方法や、有名企業の取り組みをご紹介します!

ビジョン浸透のための3つの方法

社内コミュニケーションツールの活用

社内報やメール、Slack・ChatWorkなど、普段使用しているコミュニケーションツールを通じて、ビジョンへの理解を深めることができます。ここでは定期的にビジョンを社員に伝えることが大事です。

ビジョンを作成した理由や背景、ビジョン実現に向けた取り組みなど、ビジョンに関する多くの情報を発信しましょう。また社会情勢を具に観察しそれに絡めながら、より自社のビジョンの必要性を強く訴えていくことも重要となります。
また、ビジョンに関するスタンプを作成して、Slackなどで気軽にビジョンが目に入る状況をつくるのもいいですよ。

評価制度・表彰制度を設ける

ビジョンへの取り組みに対し評価や表彰の場を設置すると、社員はビジョンへの取り組み方が明確になり、積極的に実践しやすくなります。目に見える指標があるということはかなり重要です。

ただし、ここでは評価や表彰の基準を必ず数値化してください。数値化されていない基準は曖昧で、取るべきアクションが結局分からないままになるだけではなく、社員によっては評価の結果に対して不公平感を持ってしまうリスクもあります。評価制度・表彰制度を設ける場合は、誰が見てもわかりやすい基準の設定が欠かせません。

以下は、評価・表彰制度の例と効果です。


研修を実施する

日頃からビジョンを意識しながら業務を行うのも重要ですが、時間が経てば意識から外れてしまうことも多いです。そうするとビジョンの内容が曖昧になったり、理解が薄れてしまったりする可能性も否めません。そこで、おすすめしたいのが研修の実施です。
定期的にビジョンへの理解を深め共感を高める研修を実施すれば、ビジョンの浸透度が高まり、定着もしやすくなるでしょう。またこのような取り組みによって、組織としてもビジョンを軸に動いていることが社員にも伝わります。

以下は研修プログラムの一般的な例です。これを基に、組織の文化や特定の課題にあわせながらアレンジしてみてください。


有名企業の取り組み事例

リッツ・カールトンの理念浸透

理念浸透のお手本ともいえるのが、リッツ・カールトンです。世界トップクラスのラグジュアリーホテルとして知られていますね。
企業理念を体現した行動をとりたくなるような取り組みを積極的に行っているのが特徴です。

たとえば、若手スタッフには以下のような取り組みと制度があります。

  • 部署を超えたコラボレーションや商品企画コンペへの参加といった、やりがいのあるクリエイティブな仕事の機会設置
  • 企業理念を体現した行動はマネージャーがヒアリングのうえで称賛し、特別な報酬が与えられる制度


その他、一般のスタッフだけでなくマネージャー自身も、上級マネージャーから理念について聞かれる機会が多く、立場を問わず理念に触れる場面があります。

リッツ・カールトンのスタッフが自律的に行動できるのは、企業理念がしっかりと浸透しているからです。スタッフは常に理念を意識してサービスに努めており、何か迷うことがあれば理念に立ち返って考えます。
何かトラブルがあったとしても、上司に確認するのではなく、一人ひとりが理念をもとに最良だと思う行動を瞬時に選択できるからこそ、リッツ・カールトンは世界最高のホテルであり続けられるのです。

リクルートの理念浸透

リクルートマネジメントソリューションズは、まずは全員が理念を共有するために“言語化”し、その上で“共感”の仕掛けを用意し、社員の“内在化”により浸透するというステップを大事にしています。

そのうえで大事にしている取り組みが以下の通りです。

  • キーパーソンの任命
  • 経営トップ層のコミットメント
  • 評価・表彰制度


高い問題意識を持ち、現場への影響力のある社員を選出し、理念浸透のためのキーパーソンを任せるのもポイントです。キーパーソンが理念に対する社内の温度差を解消する役割を担い、少しずつ理念が浸透していきます。

また、理念浸透を成功させるポイントとして「経営トップ層のコミットメント」に焦点が当てられています。経営理念は組織が目指す方向を示すものですので、組織を率いているトップがしっかりと理念についてメッセージを発信する必要があります。

さらに、理念を体現化することを促進するための取り組みとして、理念を体現している社員を表彰する制度を設けています。このことで理念と行動が結びつき、理念がより身近に感じられるものにしています。

リクルートのような大きな組織の場合、こうした取り組みについて周知するためのプロモーション活動も不可欠です。また、理念浸透に関するアンケート調査を行ったり、人事制度に反映したりすることで、社員の内在化を進められるのです。

(参照:リクルートホールディングス、「ビジョン・ミッション・バリューズ」

JALの理念浸透

ビジョンとは少し異なってきますが、フィロソフィー(経営理念)を浸透させるうえで面白い取り組みを行っている企業があるので、参考までにご紹介します。
大手航空会社であるJALは、フィロソフィーを社内に浸透させるために様々な取り組みを行っています。

  • フィロソフィーが記された手帳配布
  • フィロソフィー教育制度


まず、組織のフィロソフィーが記された手帳を全社員に配布し、朝礼や終礼などを活用してみんなで読み合う時間を設けています。

さらに「JALフィロソフィー教育」を実施。年に4回、2時間ずつの研修を受け、JALの一員としての意識を醸成しており、実は研修プログラムの作成も社員が手がけています。
大事な理念浸透の部分を外部委託として外部企業に丸投げするのではなく、できるだけ自分たちで取り組むことにより、社員に“当事者意識”が生まれました。
これによって組織内の採算意識が高まり、部署を超えたコミュニケーションが活性化しています。

まとめ

今回はビジョンの作成から浸透までの方法をご説明いたしました。

ビジョンとは、「会社の未来のあるべき姿」です。
よく経営理念やミッション、パーパスと混合して考えられがちですが、会社が目指す姿と言うよりも、会社の哲学であり、「ミッション」とはビジョンを実現するための取り組みやスタンスを定めたもの、「パーパス」は組織の社会的存在意義や、ビジョン実現を目指す社会的理由です。

ビジョン策定のためには、まず現状把握から始めて、次に会社の価値観を明らかにしてください。その後に市場や競合他社について理解を深めつつ、社会と自社の将来像を描いたうえでステートメントにまとめていきましょう。

ビジョンを実際に浸透させていくためには、コミュニケーションツールを活用しながら積極的にビジョンに関する情報を発信し、評価制度や研修を実施していくことをオススメします。
ビジョンの浸透は片手間でできるものではないからこそ、丁寧に扱ってくださいね。

また、弊社はブランディング事業を扱っています。もしビジョンの策定や浸透でお困りの方がいらっしゃいましたら、自社の無料相談をご活用ください。

ビジネスの課題を解決したい方はお気軽にご相談ください。

クオーツは、デザインの力を最大限活用しながら、課題の解決と成長の加速に貢献します。クリエイティブ・マーケティング・テクノロジーの視点から事業開発、体験の設計、システム設計などを、一貫した体制でサポートしています。

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