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近頃、ビジネスの現場で「シナジー」という言葉をよく聞くようになりましたね。
あなたは、シナジーとは一体どのような意味なのか、どのようにしたら生み出せるのかを説明できますか?
ここでは、ビジネスシーンにおけるシナジー効果の意味やメリット、そしてシナジー効果を生み出す方法について説明していきます!
シナジー効果とは
シナジー効果(Synergy)とは、日本語で「相乗効果」を指し、複数の人や組織、企業同士が協力し物事に取り組むことによって、「1+1=2」を超える相乗効果を生み出すことです。
ビジネスにおいて、シナジー効果はM&A(買収と合併)で頻繁に取り上げられますが、マーケティングでもこの効果を狙うことができます。
特に、オムニチャネル戦略を活用することで、オンラインとオフラインの顧客接点をつなぎ、顧客体験の向上や売上の拡大を狙えます。たとえば、実店舗とECサイト、SNSやメールマーケティングなどのチャネルを統合し、顧客に一貫したメッセージを提供することで、個別のチャネル以上の効果を生み出すことができます。
グループシナジーとは
グループシナジーは、特定のグループや組織内での部門、チーム間の協力によって生まれる相乗効果のことです。どちらも「協力することで得られる大きな成果」を意味しますが、視点が少し異なっており、グループシナジーは特に「同じ会社やグループ内での協力」を指し、シナジー効果は会社内外を問わず、異なる企業同士の協力なども含む「広い意味での協力」全般を指します。
なぜビジネスにシナジー効果が必要?
シナジー効果が求められるのは、企業価値UPや競争優位性を確保するためです。
現代では市場のグローバル化により競合企業が増加し、インターネットの普及やSNSによる情報共有が一般的になるなかで、消費者の価値観や行動が変化しています。
同時に、企業は利益のみならず社会的な価値向上も重視され、そのためにはSDGsに焦点を当てたアプローチを行う企業も多くなってきました。
この急速で変化の速い市場に対応し、競争優位性を確立し事業を持続させるためには、M&Aや業務提携、オムニチャネルの構築などを通してシナジー効果を発揮することが重要な戦略の一環として注目されています。
反対語は「アナジー効果」
アナジー効果は、シナジーとは対照的な概念であり、事業間におけるマイナス効果、またはそれぞれの事業の価値が合計よりも下回ることです。
「アナジー」(Anergy)は、「アネルギー」とも呼ばれ、免疫不応答の一形態である抗原に対する抗体反応が起こらない状態を指す医学用語です。
そのため、ビジネスの場面では「負のシナジー効果」「マイナスシナジー」「ネガティブシナジー」と呼ばれることもあります。
例えば、コスト削減のために異なる部署が連携することでシナジー効果を期待する場合、通常は「1+1=2」を超える利益が期待されます。しかし、社員間のコミュニケーションが上手くいかず、優秀な社員が不満を感じて退職するなどの事態が生じたことでかえって個々の業務負担が増加してしまい、最終的に期待を下回る結果となった... このような場合をアナジー効果が生じたと判断します。
他にも、M&Aや多角化戦略によって事業領域の拡大などプラスのシナジー効果が期待される一方で、遅れた意思決定やコーポレートガバナンスの形骸化などのマイナスのアナジー効果が発生する場合があります。
マーケティングによるシナジー効果のメリット
マーケティングによるシナジー効果、特にオムニチャネル戦略により発揮するシナジー効果のメリットは、顧客との接点を増やし、より効果的な成果を実現することにあります。
1: 顧客満足度が上がる!
オムニチャネル戦略では、オンラインとオフラインのすべてのチャネルが連携し、最適化した顧客体験を提供できます。
たとえば、オンラインで商品を見つけて店舗で試着し、その場で購入できるなど、顧客がどこで接触してもスムーズな体験ができるようにすることで、満足度が高まります。このように、複数のチャネルが連携することで、顧客が選びやすく、購買に至りやすくなります。
2: 売上が増加する
オムニチャネルを構築すると、顧客がいつでもどこでも商品を購入できる環境が整うため、購入する機会が増えます。たとえば、店舗で商品を見つけた後、オンラインで購入したり、逆にオンラインで見た商品を店舗で手に取って購入するなど、複数の購入経路を提供することです。
また、各チャネルで得たデータを活用することで、顧客の購買パターンに基づいたパーソナライズされた提案が可能になり、クロスセルやアップセルの機会も増えます。
3: データ共有でマーケティングを最適化できる
たとえば、店舗での購買データとオンラインでのブラウジング履歴を組み合わせて、特定の商品のプロモーションを最適なタイミングで行うなど、各チャネルから集まるデータを一元化し、顧客の行動やニーズを深く理解することができます。
このデータを基に、顧客に対してタイムリーかつ最適なマーケティングアプローチができるようになり、より効果的なマーケティングを実現することができます。
シナジー効果の対象・種類
シナジー効果は、シナジーを生み出す対象によって、さまざまな種類に分類されます。ここでは経営に関わる代表的なシナジーについて紹介します。
事業シナジー
事業シナジーは、経営資源の共有による収益向上など、自社事業の推進に直接関わるシナジー効果です。
コストの面では、業務提携を通じて規模を拡大し、経営資源を共有することでコスト削減が可能です。
例えば、以下のような事例が挙げられます。
- 広告キャンペーンや販売データを共有することで、マーケティングコストを削減しながら、クロスセル戦略を強化する
- 管理システムを共同利用してシステム導入費や管理費を削減する
- 加工メーカーが原材料を共同で仕入れることで原料の仕入れコストを低減する
コスト以外の側面でも、企業同士が販売提携を結び、売上を増加させることが可能です。
- 顧客との商談の場でお互いの商品のクロスセルを行う
- 販売チャネルを共有して新規顧客にアプローチをする
ちなみに、「クロスセル」とは購入予定の商品や継続購入されている商品に加え、関連商品をすすめることで一回の購買の顧客単価を上げる営業手法です。 わかりやすいものでは、ネットショッピングで表示される「こちらもおすすめ」欄がクロスセルをシステム化したものになります!
これらに加え、M&Aによる人材獲得や技術提携によって得たノウハウを共有することで、新しい製品やサービスの開発が可能となり、高付加価値化を図ることができます。
財務シナジー
財務シナジーは、企業の財務や税務活動において生じるシナジーであり、主に資金調達による資本増強や資金流出の抑制を目的とします。
社内での余剰資金がある部門と、資金が不足している部門間で資金を再配分することで、全体の成長を促進できます。
また、M&Aによって買収する企業が繰越欠損金や債務を引き継ぐ場合、事業収益が圧縮され、節税効果が高まるというメリットも存在します。
組織シナジー
組織シナジーは、異なる組織同士の強みを結集して、生産性向上や業務効率化などを実現することを指します。
オムニチャネル戦略では、各部門が連携し、顧客の購買履歴や行動データを共有することで、全体のマーケティング活動を一貫したものにします。
また、異なる組織での強みを集結することで、異なる価値観を持つ社員同士が交流する機会が増え、新しいアイデアを生んだり既存の業務課題の改善に繋がったり、そのようなシナジー効果も期待できます。
同時に業務の統合により、システムが分散することを防ぎ、コスト削減も期待できます。
さらに、生産性向上や業務効率化により事業活動が円滑に進むことで、社員の働きやすさが向上し、結果的にモチベーションの向上や従業員定着率の向上といったメリットもあります。
シナジー効果を生み出すには
ここまではシナジーのメリットや種類についてお話してきました!ではどうやったらシナジーは生まれるのでしょうか。
シナジー効果を生み出すためにはさまざまな方法がありますが、ここでは代表的な4つの方法を紹介します。
多角化戦略
「多角化戦略」とは、自社の既存事業と関連性の高い別業界や、全く新しい市場に参入することで、事業の拡大や成長を目指す戦略です。
多角化戦略は以下の4つに分類されます。
たとえば、 スマートフォンの製造および販売を行う会社が水平的多角化戦略を採用したとしましょう。この多角化戦略で、類似性のあるタブレットやノートパソコンなどの電子機器の製造および販売を開始し、結果既存の技術やブランド力を活かし、新たな市場に参入して収益を多角化することができるようになります。
ただ、自社リソースだけで多角化戦略を進めるのは難しいことがあり、市場の規模や競合企業の強さによっては、業務提携やM&Aなどの手段を検討する必要もあります。
グループ一体経営・グループシナジー
「グループ一体経営」は、通常、同じグループ会社内でノウハウや情報などを共有することで事業活動の効率化を図る経営手法です。主にホールディングス形式を採用する大企業で実践されます。
この手法により、以下のようなシナジー効果が期待されます。
グループ間のシステム統合による効果
同じグループ内でのシステムを統合することで、運用コストの低下や業務効率の向上が期待されます。共通のIT基盤やデータ管理システムを使用すれば、無駄なプロセスを削減し、全体的な運営を円滑に行うことができるようになります。
顧客情報や販売チャネルの共有による効果
グループ内で顧客情報や販売チャネルを共有することで、異なる事業間でのシナジーが生まれます。例えば、ある事業で得た顧客データを他の事業で活用することで、クロスセリングができるようになり、全体の収益向上に繋がることが期待できます。
業務提携
業務提携はアライアンスの一形態であり、企業同士が経営資源を共有しながら、協力して事業活動を展開する手段です。
具体的な業務提携の方法には、以下のようなものがあります。
生産委託
自社商品の生産を、最新設備が整った提携先に委託する方法です。これにより、効率的かつ高品質な製品を生産することができ、自社の製造能力を最大限に活かすことができます。
共同開発
お互いの技術を組み合わせることで、新しい製品を共同開発する方法です。これによって、両社の専門知識や技術力を活かし合いながら、市場に新たな価値を提供することができるようになります。
販売委託
販売・営業ノウハウが豊富な企業に販売を委託する方法です。これにより、自社にはない相手の市場知識や販売ネットワークを活用しながら、効果的な販売促進を図ることができます。
これらの方法は、アライアンスパートナー同士がお互いの弱みを補完すること、両社にとってコスト低減やチャネル拡大を図ることなど、具体的なメリットが生まれるようにすることが重要になってきます。
また弊社が日頃行っていることとして、ご相談頂いた企業様のお悩みによっては、過去取り引きのある企業様をご紹介することもあります。このように、顧客同士をお繋ぎできるのもシナジーのひとつです。
例えば、アイスクリームの販売を行う企業様と、日本酒の販売を行う企業様を弊社がお繋ぎすることで、「アイスクリーム × 日本酒」といったユニークな新商品の共同開発ができます。
ECサイトの制作会社である弊社は、ご依頼頂いたECサイト構築に関する案件の過程で、各企業様の事業や商品についての理解を備えております。ですので、適切なマッチングと客観的なフィードバックが可能です。
弊社はこれまで多くの企業様とお取引しておりますので、多種多様な業界のクライアント様をご紹介できます。もし事業についてお悩みがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
M&A
M&A(合併および買収)は、事業再編の手段として、他社を買収または合併することで、買収・合併先の技術、ノウハウ、設備、システム、特許、人材、販売チャネルなどの資産を取り込み、これによるメリットを享受する手法です。
以下は、M&Aにおいて最もシナジー効果を受けやすい特徴です。
販路を活用してのシェア拡大
合併または買収により、相手企業の販売チャネルを活用して自社の製品やサービスを拡販することができ、市場シェアを拡大します。これにより、相乗効果が生まれ、双方の顧客ベースが強化されます。
特許や技術ノウハウを活用した新規製品・サービスの開発
合併先が持つ特許や技術ノウハウを取り込むことで、新規製品やサービスの開発が可能になります。これにより、市場での競争力が向上し、成長が期待されます。
システムの統合による業務効率化
買収や合併によって、両社の業務プロセスや情報システムを統合することで、冗長性の排除や効率の向上が図れます。これにより、業務の合理化やコスト削減が可能となります。
財務シナジーを活用した節税効果
意図的な繰越欠損金や債務の損金参入を通じて、節税効果を追求することができます。これにより、財務の合理化や税務上のメリットが生まれます。
このようにシナジーを生み出す方法はたくさんあります。それぞれに特徴や強みがあるので、あなたがシナジー効果を狙う目的によって、手段を選んでいきましょう!
シナジー効果を狙うときのポイント・注意点
シナジー効果を高め事業の成長を目指したいなら、以下のポイントを意識しましょう!
- シナジー効果を得られるか事前に検証する
- リスクを事前に検討する
- 経営計画に落とし込む
シナジー効果を得られるか事前に検証する
シナジー効果は偶然生まれるものではありません。マーケティング活動やオムニチャネル戦略を展開する前に、どのような効果が期待できるのかを事前に検証することが大切です。たとえば、オンライン広告と店舗キャンペーンを組み合わせることで、どれだけの顧客が来店するかや、売上がどれくらい増えるかを予測し、それが実現可能かを分析します。また、プロモーションコストも含めた費用対効果の確認も必要です。
リスクを事前に検討する
シナジー効果を得ようとして、逆にマイナスの相乗効果であるアナジー効果につながる可能性も考慮しなければなりません。
シナジー効果を追求する前には、発生しうるリスクを書きだして、そのリスクへの対策を事前に考えておきましょう。
たとえば、異なるチャネル間でのデータ共有がうまくいかず、顧客体験が悪化する可能性もあります。そうしたリスクを事前に洗い出し、対策を講じましょう。オムニチャネルでは、デジタルと実店舗での統合がうまくいかないと、顧客が混乱することもあります。そのため、チャネル間の情報連携やシステム統合の対策をしっかりと準備することが重要です。
経営計画に落とし込む
シナジー効果の検証やリスクの洗い出しが終わったら、確実に実行していくためにも経営計画に組み込みましょう。前の段階で行った事前検証やリスク検討をもとに、シナジー効果によって達成したい数値目標を中長期経営計画に、具体的な行動計画を短期経営計画に落とし込んでください。
例えば、オンラインとオフラインのデータを統合して、リピート顧客をターゲットにしたパーソナライズドキャンペーンを実施する計画を立て、どのくらいの売上増加を見込むのか、中長期的な目標とアクションプランに落とし込みます。
この計画を社内で共有し、社員全体が同じ目標に向かって進むことで、シナジー効果を最大化できます。
経営計画と聞くと難しく感じるかもしれませんが、「目標」「行動内容」「達成までの期間」を一つにまとめて考えると、実行しやすくなります。
成功事例5選
シナジー効果の成功例は数多くありますが、ここでは代表的な事例を5つ紹介します。
LIXIL(グループ一体経営)
建築材料・住宅設備機器業界最大手である「LIXILグループ」は、2012年に子会社105社の会計システムの統合を行いました。
このグループ一体経営で、会計システムの統合により会計部門の共通化を推進させ、各社の業績がリアルタイムで把握できることから素早い経営判断ができるようになりました。
以前は住宅設備機器や建築材料など5つの大手企業が統合し、多数のM&Aを行ってきたこともあって各社で異なる会計システムを用いていました。
しかし、グループ全体の収益を把握するのに手間がかかっていたこと、くわえて会計におけるほとんどの作業が各社で共通していたことから、会計システムの統合へと踏み切りました。
さらにはこのグループ一体経営を行うことで、グローバル展開に対するスピードアップも目的とされています。
このように子会社105社の会計システム統合を図った結果、システム維持費の削減や人材の有効活用、人件費の削減といったシナジー効果を生み出しています。
ユニクロ・東レ(業務提携)
ファストファッションの代表的なブランドである「ユニクロ」と、合成繊維や樹脂をはじめとする化学製品メーカー「東レ」は、2006年に戦略的パートナーシップを結びました。
ユニクロの衣服の開発・製造ノウハウと東レの高機能繊維の開発能力を組み合わせることで、大人気商品の「ヒートテック」や「エアリズム」といった機能性インナーが生み出されました。これらの商品は世界的なヒットとなり、年間1億枚以上が販売されています。
2024年現在もユニクロと東レのパートナーシップは継続中で、今後も新製品の開発や販売に期待が寄せられています。
(参照:東レ×ユニクロ イノベーションの源泉となるパートナーシップ)
トヨタ自動車・スズキ(業務提携)
自動車メーカー「トヨタ自動車」と輸送機器及び機械工業メーカー「スズキ」は、2016年から2社の業務提携に向けた検討が行われ、2019年9月に資本提携が発表されたことは記憶に新しいですよね。
この提携は、トヨタ自動車の電動技術とスズキの小型車技術を組み合わせることにより、「さらに競争力のある製品開発」や「スズキがもつインドでの圧倒的な市場シェアの共有」、「部品などの調達を共有化したことによるコストダウン」といった、長期的な提携関係の構築や推進を目的としています。
このことで両社は相互に株式を取得し、自動運転分野などにおける「自動車業界の100年に1度の大変革期」を乗り越えていくため、自動車産業におけるさまざまな課題の解決や持続的な成長を実現するために資本提携の決断をしました。
(参照:トヨタとスズキ、資本提携に関する合意書を締結)
資生堂(M&A)
化粧品の製造・販売を主な事業とする「資生堂」は2017年に米国のベンチャー企業「Giaran Inc.」を買収しました。
Giaranが持つ人工知能(AI)プラットフォームの先進技術をはじめとする優れたデジタル技術によって、ビューティー分野におけるアルゴリズム開発に注力し、新しい消費者体験を作り出すことが目的です。
実際にこの買収によって、資生堂はAIを活用して美容に関する新たな可能性を生み出すことなりました。例えば、仮想環境でのメイクアップや、一人ひとりに適したAIによるメイクアップアドバイスなどが実現されています。
資生堂の化粧品の製造技術とGiaran社のAI技術のシナジーによって、顧客の美容ニーズへの理解をより深め、ニーズに応じた対応ができるようになっています。
(参照:米国ベンチャー企業Giaran Inc.買収に関するお知らせ)
楽天グループ(M&A・グループシナジー)
情報通信分野の代表的な企業である「楽天グループ」は、M&Aによって事業規模の拡大を行ってきました。
2003年に宿泊予約サイト「旅の窓口」を運営する「マイトリップ・ネット」を、2004年には証券会社「ディーエルディレクト・エスエフジー」、パーソナルファイナンス事業を行う「あおぞらカード」など、多種多様な企業を買収してきました。
このように楽天はEコマース事業、インターネットバンキングや電子マネー、生命保険や損害保険などといった、金融・保険業界へも参入しています。
さらに携帯キャリア事業を開始するなど、インターネットとの親和性が高い業界へと積極的に関わっていっています。
Fablicの株式を全て取得・完全子会社化し、日本初のフリマアプリ「フリル」の提供を2017年に開始したのも話題となりましたよね。
楽天はさまざまな事業を行う企業を買収することで、グループ内の事業を多角化し、楽天のユーザーに消費と金融の両方からサービスを提供しています。この戦略を楽天は「楽天経済圏」と呼んでいます。
楽天はグループ内の連携も強化しており、グループシナジーによってサービスの多角化を進めているという特徴もありますよ。
(参照:楽天の歴史)
失敗事例3選
さて、ここまではシナジー効果の成功事例を紹介してきましたが、逆にどういうときにアナジーとなってしまうのかも気になりませんか?
ここではシナジー効果の失敗事例を3つ紹介します。
キリンホールディングス
国内のビール市場で上位のシェアを持つ「キリンホールディングス」は、かつて海外でのM&Aに失敗した経験があります。
2011年11月、ブラジル2位のビール企業である「スキンカリオール」を3000億円で買収しました。
当時のブラジル市場は年間10%の成長が見込まれていたため大きな期待が寄せられていましたが、景気の悪化とベルギーのビール企業との価格競争により失敗に終わりました。
2015年12月期の決算では、ブラジルキリンは1100億円の減損を計上し、上場以来初めての473億円の赤字を出しました。
その後、ブラジルキリンは2017年6月にオランダのハイネケングループに770億円で売却されました。
このM&Aの失敗の主な要因は、市場調査の不足だったと言われています。
(参照:キリン、“脱ビール”鮮明、海外M&A巨額損失で…投資ファンドが健康事業撤退要求)
パナソニック
大手家電メーカー「パナソニック」は、2009年に6,600億円を投じて「三洋電機」を買収しています。その内5,180億円が大規模なのれん代に充てられました。
しかし、その後わずか2年で三洋電機の企業価値は半分近くまで下落し、のれん代の内2,500億円を偏損処置せざるを得ない状況にいたりました。
パナソニック財務担当取締役によると、三洋電機の企業価値の急落の主な原因は、「三洋電気の主力であった民生用リチウムイオン電池の事業価値が、円高などの環境悪化の影響で大きく損なわれた」ことだとされています。
(参照:パナソニックの大誤算、三洋買収で巨額損失)
LIXIL
先ほどの成功事例でも挙げた、グループ一体経営で功を奏した「LIXIL」ですが、実はM&Aにおいて失敗経験があります。
2014年に、LIXILは「グローエ・ドーン・ウォーターテック(現在のLIXILアフリカ)」を約4,000億円で買収し、同時にグローエの子会社である中国企業「ジョウユウ」も傘下に収めました。
しかし、2015年4月にジョウユウの不正会計が発覚し、ジョウユウが債務超過で破綻処理を迫られる事態に。
これにより、LIXILは関係会社投資の減損損失や債務保証関連損失などで合計608億円の損失を被りました。
グローエはLIXILからの一部出資を2009年に受けており、その際にジョウユウの主要な財務情報にアクセスできないことが分かっていたにも関わらず、そのことをLIXILには報告していませんでした。
(参照:リクシル、対立の根底に海外買収攻勢の「失敗」)
まとめ
シナジー効果(Synergy)とは、日本語で「相乗効果」を指し、複数の人や組織、企業同士が協力し物事に取り組むことによって、「1+1=2」を超える相乗効果を生み出すことです。
ビジネスにおいて、シナジー効果はM&A(買収と合併)で頻繁に取り上げられますが、マーケティングでもこの効果を狙うことができます。
シナジー効果を生むためには、オムニチャネル戦略や多角化戦略、業務提携、M&Aなどの手法が用いられます。
ただし、シナジー効果が必ずしも期待通りに発揮されるわけではなく、逆にマイナスの相乗効果を生むアナジーもあります。ですので、シナジー効果を図る場合には具体的に数値化することを意識してください。
ぜひ経営戦略に組み込んで具体的な行動計画を策定し、この記事を参考にシナジー効果を狙ってみてください!
もしシナジー効果に関してのご相談があれば、お気軽にお問い合わせください。
ビジネスの課題を解決したい方はお気軽にご相談ください。
クオーツは、デザインの力を最大限活用しながら、課題の解決と成長の加速に貢献します。クリエイティブ・マーケティング・テクノロジーの視点から事業開発、体験の設計、システム設計などを、一貫した体制でサポートしています。
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クオーツは、デザインの力を最大限活用しながら、課題の解決と成長の加速に貢献します。クリエイティブ・マーケティング・テクノロジーの視点から事業開発、体験の設計、システム設計などを、一貫した体制でサポートしています。
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